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2021年12月

今年のM-1       2021年12月27日

 「今年も1年終わったな」と感じる一番のイベントは何といってもM-1です。2年前のM-1はこれまでで一番面白かったのですが、昨年は個人的には期待外れでした。今年はどうなるものかと思っていたら、2年前並みにとても面白いM-1でした。

 何と言っても優勝した「錦鯉」が良かったですね。昨年のM-1で4位でしたが、私にとって一番面白かったコンビが、バージョンアップして見せてくれました。1本目の合コンネタも2本目のサルを捕まえるネタもどちらも素晴らしかったです。渡辺さんのツッコミが昨年より鋭さを増し、長谷川さんのボケはますます輝いていました。何度でも録画で繰り返し見ていたい出来でした。

 私が優勝候補1番手に推していたのは「インディアンズ」でした。ものすごくテンポのいい漫才で期待を裏切りませんでした。今年は「錦鯉」の勢いに押されて優勝できませんでしたが、来年こそ優勝できるのではないかと期待しています。

「オズワルド」の1本目の友だちいないネタは完成度も高く素晴らしかったです。ネタを何度も何度も練り上げて芸術作品に仕上げていると評価されるのが分かるような気がしました。2本目は今一つで残念でしたが、来年も優勝候補なのは確実でしょう。

 「ロングコートダディ」も生まれ変わりネタがとても面白くファンになりました。「肉うどんに生まれ変わる」という発想がどこから出てきたのか、気になりました。

2歳半の娘が一番気に入ったのは「モグライダー」でした。美川憲一の「さそり座の女」の歌真似の場面でケタケタと笑い転げていました。ツボに入ったようで録画で何度見ても同じ場面で笑っています。

毎回思うのですが審査員のコメントも秀逸です。また、M-1終了後に「かまいたち」がやっていた出場者たちに話を聞く「M-1打ち上げ」のトークもよかったです。M-1は見終わった後も1ヶ月は楽しめるネタを提供してくれます。私にとってはテレビ番組の中の最強のコンテンツです。

2021年11月

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか2021年11月30日

とても評判のいい本なので読んでみましたが、期待以上に面白い本でした。

 私が落合さんに興味を持ったきっかけは、大学時代に喫茶店で読んだ週刊誌の記事でした。初めてパリーグで首位打者をとった年のオフでしたが、ロングインタビューでの自信満々の言葉の数々がとても新鮮でした。その後に言葉通りパリーグで3回の3冠王を取り、その後中日、巨人での活躍も素晴らしいものでした。数々の言動から「オレ流」が代名詞になるのもうなずけました。

 引退後の野球解説は聞いていても今ひとつ言葉の意味が読み取れず、中日の監督になると聞いた時には「監督としてはダメだろう」と思っていました。しかし、中日で監督をしていた8年間でセリーグ優勝4回、日本一1回、その他の年もすべてAクラスで、中日は全く別のチームになっていたのは確かでした。落合監督時代に息子は熱烈な中日ファンになり、弱い広島ファンの私を憐れむようになっていました(その後立場は逆転しましたが---)。

 この本は落合監督がどのようにして中日を強くしていったか、嫌われていったかを著者自身の綿密な取材で明らかにしています。

 私が感じる落合監督の一番すごいところは、偏見にとらわれず自分の見たことをとても大事にすることです。「最も影響を受けた選手は誰だったか?」の質問に、有名な選手を言わずに「土肥健二」というあまり有名でない選手の名前を挙げているのも興味深い話です。自分の見た眼を一番信頼しているのでしょう。

 各章がとても読み応えのあるのですが、印象に残ったところを書きとめてみました。

 第1章。監督になって初めての開幕の広島戦で「川崎憲次郎」を先発した話は、当時とても疑問でした。裏事情が分かり少しすっきりしました。

 第2章。立浪のサード守備の衰えを見抜いて、森野をレギュラーにすべく鍛える話は落合監督のすごみを感じました。また、記者である著者に「同じ場所から、同じ選手を毎日見ろ」という「見ること」の大切さを伝えたところも印象的です。

 第3章。福留孝介選手との関係はドライですが、プロフェッショナル同士の深いところで分かり合えているのが羨ましく感じられます。9歳年上の奥さんとの付き合い始めたエピソードはとても素敵です。

 第7章。好投したが8回に1点を失って勝てなかった吉見投手に対して新聞紙上で「130球投げたって、一球ダメなら全部、無駄になる。何も残らないってやつだ---」という言葉。吉見投手に伝えた言葉はとても厳しいものですが、真のエースになるための落合流の愛の鞭なのでしょう。

 落合監督が嫌われたのは記者たちにリップサービスをしなかったことが一番の原因のように感じます。しかし、監督は記者たちにもプロフェッショナルを求めていたのだと感じます。監督に一人で立ち向かった著者の鈴木忠平氏には様々な深い言葉を投げかけています。それらの言葉を受け取ってこれだけの本を書いてくれた著者に感謝です。

 私自身は落合さんの徹底的に自分の考えにこだわりマイペースを貫く生き方が大好きです。

 この本は落合博満の人物像を教えてくれるとともに、落合監督に振り回された選手やスタッフなどのエピソードをとても興味深く伝えています。中日ファンは当然として、プロ野球ファン、スポーツファンならぜひとも読んでほしい本です。

2021年10月

老いの福袋   2021年10月29日

「老いの福袋」(中央公論社 2021)の著者の樋口恵子さんは私の母と同じ88歳です。母のことを知るためとそう遠くない自分の将来を知るために読んでみました。 

 母は1年前に父が他界したため一人暮らしをしています。地元山口に住む私の弟が毎週末に買い物に行って、半日母のところに様子を見に行って話相手になっています。私は金銭援助が担当で、毎月の仕送りと母の大好物のカニを年に数回送っています。母はATMでお金をおろしたことがなく、電車に一人で乗ったこともありません。母はかわいらしい人で、私にとっては妹のような存在です。

「ヨタヘロ期」とは一般的に70代半ばから80歳前後に心身の活力が低下し(いわゆるフレイル)、筋肉量が減少して動きが鈍くなること(いわゆるサルコペニア)を樋口さんがわかりやすい言葉でまとめたものです。

 10数年前に母はごみ捨てに行った時に転んで、大腿骨頸部骨折で人工関節を入れています。「ひところび100万円」と書かれているように、その後2ヶ月ばかり入院して活動力が衰え、「ヨタヘロ期」に入りました。

 母に聞くと「朝起きるのも一仕事」のようですし、父が亡くなってからは料理も面倒になっているようです。出かけるのも大変なようですが、デイサービスは楽しみにしています。他の人とふれあって体を動かすのは楽しみにしています。

 日本の平均寿命は、女性が87.45歳、男性が81.41歳。そして健康寿命は女性が74.79歳、男性が72.14歳で、引き算をして女性では約12年、男性では約9年間何らかの介護が必要な状態になります。なるべく健康寿命を延ばして介護は必要な期間を短くしたいものです。個人的にはなるべく長く仕事をして(迷惑をかけない範囲で)、20年前から再開した卓球と9年前からやっている筋トレを継続し、さらに新たな趣味を開発することが大事だと感じています。

 それでも、「ピンピンコロリ」は幻想です。介護のお世話になることを今から覚悟しておいた方がいいようです。もしシモの世話をしてもらう立場になったら、変なプライドを捨てて感謝できるようになりたいものです。

 「片付けは拒否していい」という言葉には、勇気づけられました。年を取ると片付けがとても苦になり、樋口さんも「プチうつ」を経験されています。開き直って「片付けはしない。後始末するお金は残しておくから、あとはよろしく」とすることでとても気持ちは楽になりそうです。

 上野千鶴子さんと樋口さんの対談の「人生のやめどき」(マガジンハウス 2020)も楽しく読みました。70代前半で結婚歴がないおひとりさまの上野さんの毒舌がさく裂していました。「いい嫁は福祉の敵」「親とは?はた迷惑」は名言ですね。

また、在宅ひとり死の心構えで「死ぬ前に会いたくなったら連絡する。呼ばなければ立ち会う必要はない。お前たちの人生をしっかり生きよ」と伝えるとよいと書かれています。上野さんは家族に囲まれて死ぬより一人で死ぬ方がある意味では気楽だととらえられているようです。さすが「おひとりさまのプロ」です。

 これまでの人生を振り返ってみるとそのスピードの速さに驚いています。「老い」はもう目の前に迫っています。人生の終わりを意識しないわけにはいかないと感じています。

2021年9月

日本映画の3大巨匠   2021年9月30日

これまで人並みには映画を見てきたつもりですが、映画について深く考えたことはありませんでした。「教養としての映画」(伊藤弘了著 PHP研究所 2021)を読んで、映画の見方を改めて知りました。

 様々な映画が紹介されていましたが、日本映画の3大巨匠について興味がわきました。3大巨匠とは、小津安二郎、黒澤明、溝口健二の各監督です。いずれも1950年代を中心に活躍した監督です。小津監督と黒沢監督についてはこれまでも名前を聞いてが、溝口監督は知りませんでした。早速それぞれの監督の作品をamazon primeで見てみました。

 小津安二郎監督の「東京物語」が名画だという話は以前にも聞いたことがあり、10数年前に見た記憶があります。しかし、事件も起こらず退屈な映画だというイメージしかありませんでした。しかし、世界の映画監督が最も偉大な映画1位に選んだこともあると書いてあり改めて見直してみました。この年になって見るからなのか、この映画の面白さが分かったような気がしました。おじいさん役の笠智衆の演技も独特で、以前見た時にはセリフが棒読みで演技が下手なのかと感じていましたが、印象に残る味のある演技だと思うようになりました。著者が「人物の正面ショットを切り返していくことで、小津映画の独特のリズム感が生まれています」と書いているように、一場面一場面が印象に残る映画です。これからも何度か見直したくなりそうです。

 黒澤明監督の作品は「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」を見てみました。全二者は主役の三船敏郎がとにかく男臭くてかっこいい。大好きなスティ-ブ・マックイーンと並ぶ東西の横綱クラスの俳優ですね。悪役の仲代達也も存在感がありました。白黒映画なのに、白黒映画だからなのか戦いのシーンなど迫力のある映像です。いずれの作品もワクワクして楽しめる超一流のエンターテインメントです。織田裕二主演の「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸警察署史上最悪の3日間!」で「天国と地獄」を引用されている ようなのでもう一度見直してみたくなりました。

 溝口健二監督の作品は「近松物語」「雨月物語」「お遊さま」を見てみました。「お遊さま」は今一つ物足りませんでしたが、「近松物語」「雨月物語」は白黒の美しい映像が素晴らしい。特に「近松物語」の心中をしようとする舟のシーンは目に焼き付いています。フランスのヌーベル・ヴァーグに強い影響を与えたのも理解できます。

 3大巨匠の映画以外にも、この本を読んでみたくなった映画がたくさんあります。是枝裕和監督の「海街diary」、ヒッチコック監督の「めまい」など。また、巻末に世界と日本の名作映画111選が示されていました。これらのうちすでに見ている映画は26作品でした。未鑑賞の映画もすべて見てみたいものです。

 映画という趣味の世界を広げてくれる羅針盤となるとても役立った本でした。

2021年8月

動物たちの子育て   2021年8月29日

 私たちホモサピエンスが現在に至るまで生き延びているのは、代々の先祖が子育てをしてくれていたおかげです。しかし、時代によって子育てのやり方は大きな変遷があったと推測できます。   

 ヒトを動物の仲間と考えて、ヒトの子育てを他の動物と比較してみるのも興味深いことです。「正解は一つじゃない 子育てする動物たち」(監修 長谷川眞理子 東京大学出版会 2019)は動物の子育ての研究をしている学者たちが、18種の動物の子育ての特徴を記した本です。

 まずオランウータンの子育てがとてもユニークです。オランウータンはヒトやチンパンジーなどの祖先と約1800年前にたもとをわかっています。類人猿としては唯一の単独生活者で、ほとんど樹上生活をしています。子育ては母親だけのワンオペです。母親と2人だけの生活で、仲間と会うことは月に数回だけです。オスは全く子育てに参加せず、天敵から守るようなこともありません。ある意味ではとても平和な子育てですね。

 一方、ゴリラは一夫多妻制で家族が集まって生活しています。ゴリラの子育ての特徴は「放任主義」と「無条件かつ全面的なわが子の味方」です。放任主義は「ほめない」「叱らない」「教えない」「一緒に遊ばない」「食べ物を与えない」と徹底しています。しかし、母親は常に子どもを見守っていて、何かトラブルがあると自分の子どもが明らかに悪い場合でも無条件に子どもをかばいます。注意したり叱ったりするのは、母親以外のメスやその子どもたちで母親はモンスターペアレントと言われるような行動をとります。父親はトラブルがあった時には常に弱い方の味方をします。そのため子どもの間でいじめは起きにくいとされています。安定した秩序が保たれているようです。

 ノラネコの世界は悲惨です。カイネコの寿命が約15年なのに対して、ノラネコは3から5年と言われています。ノラネコは通常1回に3-6匹の子どもを産みます。子育ては母親のみが行い、オスはほとんどの場合参加しません。それどころかオスネコはかなり頻繁に子殺しをするようです。母親ネコがいない間に子ネコの首筋を噛んで次々に殺します。そのため母はオスがやってこないか常に警戒が必要で、血縁関係のあるメス同士で共同で子育てをすることも多いようです。生きるか死ぬかの戦いを常にしている「修羅の世界」のようです。

 動物の子育ての知識がヒトの子育てに直接役に立つことはないでしょう。しかし、さまざまな動物の子育てを見てみると、ヒトという動物の特徴が浮かび上がってきます。監修の長谷川眞理子先生は「非常に大きな脳を持ったヒトの子育ては手間暇がかかり大変な仕事です。そのため、血縁・非血縁を含めた多くの他者の協力が必要です」と言われています。より多くの人が子育てを楽しめるような柔軟な社会を作っていきたいものです。

2021年7月

祝! ニッポン卓球金メダル  2021年7月27日

日本の卓球界が待ち望んでいた日がついにきました! 26日の混合ダブルスの決勝で水谷隼・伊藤美誠ペアが宿敵中国のペアを破って金メダルを獲得しました。私たち卓球愛好家の夢がついに実現しました。

 中国が圧倒的に強い卓球界で日本が金メダルを獲得する可能性が一番高いのが混合ダブルスだろうとは思っていました。しかし、決勝への道は険しかったです。準々決勝のドイツ戦では、相手の女子選手ソルヤに翻弄され最終セットは2-9まで追い込まれました。「もうだめだ」と見ている方があきらめていたところから、水谷選手の積極的な攻撃で差を縮め、6回のマッチポイントを凌いで逆転勝ち。すごい試合でした。

 準決勝は危なげのない試合で勝ち抜いて決勝戦。中国最強ペア(許昕、劉詩雯)に通用するのか楽しみで見始めました。最初の2セットは中国の強さばかりが目立ち、これまでと同じように一方的に負ける予感がしました。特に伊藤選手が中国ペアの攻撃に対応てきていないように感じられました。しかし、3セット目から流れが変わります。徐々に伊藤選手が慣れてきたのと水谷選手の攻撃が冴えてきたことが大きいのでしょう。3セット連取して第6セット目は取られて、ついに最終セットを迎えました。

 最終セットは何が起こったのかわからないほど日本が怒涛の攻撃を続けて、一気に8点連取します。歴史上中国相手にこんな場面は見たことがありません。その後は少し反撃されましたが、最後は準々決勝と同様に伊藤選手のロングサーブで勝ちを決めました。

 水谷選手のドライブはかっこよかったです。中国の許昕選手のドライブも抜群で左利きのドライブは特にダブルスでは映えます。同じ左利きのドライブマンの私としては、はるかに及ばないものの自分が打っているように身体が感じました。伊藤選手は試合途中からは許昕選手のドライブにしっかり対応したのはさすがでした。

 まだまだ中国の壁は厚いと思いますが、伊藤選手のシングルスの活躍を期待しています。

2021年6月

立花隆氏を偲んで  2021年6月30日

 ジャーナリスト、ノンフィクション作家の立花隆氏が亡くなりました。

「知の巨人」と呼ばれる立花氏は様々な分野の著作があり、私も愛読していました。

 田中角栄氏のロッキード事件を暴いた著書や「日本共産党の研究」で有名です。左右両陣営から批判されても屈しないジャーナリスト精神は見事でした。

 しかし、私は政治関係の著書よりも「人間とは何か?」という興味から書かれたものの方により興味がありました。

 「脳死」「脳死再論」「脳死臨調批判」の脳死3部作は、大学に勤めていた時に精読しました。脳死の問題について立花氏ほど問題の本質を突き詰めて議論した人はいなかったように思います。

 「サル学の現在」や「脳を究める」は、当時のサル学や神経科学の最前線を取材してわかりやすく解説した本でした。サルとヒトの類似点と相違点や神経科学の最新情報から人間の本質に迫ろうとする立花氏の意欲を感じました。

 私が特に好きだったのは「宇宙からの帰還」と「臨死体験」でした。「宇宙からの帰還」では、地球外での経験をした宇宙飛行士は意識がどう変わるのかが主題でした。鋭い取材で宇宙飛行士の意識の変化が良く描かれていたような記憶があります。

 「臨死体験」の中では、感覚遮断されたアイソレーションタンクでの体験にとても興味を持ちました。臨死体験をした多くの人は自分の身体が宙に浮いて自分の身体を眺めているいわゆる幽体離脱について語っています。アイソレーションタンクに入ると幽体離脱の経験できると聞いて、立花氏も自ら体験をしています。立花氏は、幽体離脱は経験しなかったが魂のようなものが自分の身体から半分抜け出たと書いていました。

 私も幽体離脱を経験したいと思い、20数年前にアイソレーションタンク経験をしました。場所は東京都内で民家風の建物でした。飲み物をいただいた後で、裸になってアイソレーションタンクに入りました。

 真っ暗で音がしない。身体が液体の中に浮いていて暑さ寒さも感じない。完全に感覚が遮断された中に入って、しばらくたっても幽体離脱しません。自分の感覚で1時間以上たったと思っても変わりがないので、だんだん早く出たくなりました。タンクから出た時には1時間半たっていました。1時間の予定が、サービスで1時間半にしてもらっていたようでした。私は経験できませんでしたが、脳科学的には幽体離脱ともいえる瞑想状態に入ることは可能と考えられています。個人的には立ち話を一番身近に感じたのがこのアイソレーションタンクの経験でした。

 旺盛な知識欲の象徴ともいえるのが東京都内にある20万冊以上の蔵書のある猫ビルです。ビルに猫の顔が描かれているのが特徴のこのビルの中の蔵書を記録した本が「立花隆の書棚」です。ありとあらゆる分野の本や資料が所狭しと並んでいる写真の連続で圧倒されました。本好きとしてはうらやましく思いますが、自分の頭にこれらの本の内容を入れようとしても何十分の1も入らないでしょう。内容を理解して頭で整理してアウトプットできる立花氏の頭脳には驚嘆します。

 立花氏は私の憧れの人でした。彼ほど知的好奇心の塊のような人は日本にはいなかったでしょう。おそらく死ぬ間際には死を迎えて新しい世界に入ることに楽しみを見出していたのではないかと思います。ご冥福をお祈りいたします。

2021年5月

民主主義とは何か    2021年5月31日

まだ若かったころに「世の中をよくするには政治が変わらないとだめだ」と思い、政治家になりたいと本気で思っていたことがありました。しかし少しだけ政治活動をやったところで、自分が政治家向きではないことを思い知らされて1年ぐらいで諦めました。また、その時の経験から政治システムを変えてより良い世界に変えていくにはとてもたくさんのステップが必要だと感じました。

 現在の新型コロナ感染の蔓延する中で政治の役割の重要さが改めて見直されてきています。

 東大大教授の宇野重規教授の「民主主義とは何か」(講談社現代新書 2020)は、世界の民主主義の歴史をとても分かりやすく書かれた本です。宇野教授は菅内閣から日本学術会議の会員の任命を拒否されていますが、著書からはとても常識的な先生だと感じました。

民主主義の起源は古代ギリシアで、民主主義の基本は「参加と責任のシステム」であると著者は説明しています。しかし、ギリシアの民主主義は170年で終わり、古代ローマは衆愚政治に陥りやすい民主主義を避け、「公共の利益の支配」を意味する共和政をとり、実務的なローマ人らしく君主政、貴族政、民主政を組み込んで腐敗と堕落を避けるようにバランスをとっていました。ローマ以後は長らく民主主義は否定的に語られることが多くなっています。

 その後、近代ヨーロッパで民主主義が見直されて発展を遂げてきています。歴史的に様々な人が民主主義について考えを述べていることが紹介されていますが、興味深かったことをいくつか挙げてみます。

 19世紀フランスの貴族のトクヴィルは米国ニューイングランドの一般の人々の自治や結社の活動を見て「アメリカのデモクラシー」を書いています。デモクラシーの進展が人類の不可逆な摂理ともいえると結論し、そこから民主主義に対する肯定的な言葉として浮上しています。同じく19世紀の英国のジョン・スチュアート・ミルは「自由論」の中で他人の幸福を妨害しない限り、自分自身の幸福を追求する自由があると述べています。権力の行使の正当性は他人への危害を防止する目的のみであるとし、権力の乱用に警告を発しています。また、代議制民主主義が最善であると主張し、少数派の意見を反映する比例代表制や女性参政権の導入を支持しています。トクヴィルやミルの考えがその後の民主主義の捉え方に大きい影響を与えたのは間違いないでしょう。

 一方で、第一次大戦後の機能しない民主的な議会にいら立ったドイツのマックス・ウェーバーとシュミットは、非常時には民主的に選ばれた独裁者が必要と主張し、ナチスの台頭につながっています。確かに何も決められない議会を見ていると独裁的指導者を求めたくなるのも十分に理解できるところです。

 オーストリア・ハンガリー帝国出身の経済学者シュンペンターは「資本主義・社会主義・民主主義」を書きました。その中で公共の利益を前提とした古典的民主主義を否定して、公正な妥協をすることが新しい民主主義だと主張しています。彼はエリート民主主義を唱え、代表者同士が競争して選ばれることが重要だとしています。政治家の高い資質と官僚制を中心にして政治決定の範囲を広げ過ぎないことで民主主義が機能すると考えています。「一般の人の政治参加それ自体に価値はない」と言っていますが、公的なことよりも私的な生活に価値を置いている現代人からすると認めざるを得ない気もします。

 米国の政治学者のジョン・ロールズは「正義論」の中で正義の二原理に基づいて政治を行うべきと述べています。第一原理は平等な自由、第二原理は公正な機会の下、最も恵まれない人の境遇を最大限に改善する限りで格差は認められる、ということです。多くの人が認めることができる二つの原理をもとに人々が正義感覚を涵養していくことを重視しています。

 以上のように民主主義について歴史的に様々な捉え方があります。ギリシアで始まった民主主義は大きく変容しながら現在も何とか生き延びています。しかし、多くの欠陥(効率の悪さ、衆愚政治、ポピュリズムなど)を露呈して第二次大戦後に大きく増加した民主主義国家が減少し、2020年には非民主主義国家(独裁国家)が過半数を占めるようになっています。

チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態だ。ただし、これまで存在したすべての政治形態を除いては。」と言っていますが、日本人の我々には民主主義以外の選択肢は考えられません。この古い民主主義というシステムをメンテナンスをしながら日本独自に発展させていくしかないのでしょう。

2021年4月

数字で見た新型コロナ感染症の影響 2021年4月29日

現在も新型コロナ感染の勢いは収まらず、社会生活に大きい影響を及ぼしています。以前にブログで紹介した「FACTFULNESS」(H.ロスリングら著、日経BP 2019)は、マスコミ報道などの間接的な情報ではなく客観的な統計データを見ることが大切と教えています。

 マスコミでは大きく取り扱われていない三つの統計の数字から新型コロナの影響を見てみました。

 一つ目は、JOHNS HOPKINS大学が発表している世界の新型コロナ感染のデータです(4月28日分)。その中で注目したのは人口10万人当たりの死亡数。世界で一番多いのはハンガリーの276.19人です。その後にチェコ、ボスニアヘルツェゴビナ、モンテネグロ、ブルガリアと東ヨーロッパの国々が続いています。西ヨーロッパではベルギーが209.89人と一番多く、イタリア、イギリスなどが続いています。その下にはブラジル、ペルー、アメリカなどの南北アメリカが登場します。アフリカでは南アフリカが92.62人と突出して多く認められますがそれ以外の国の死亡数はそれほど多くなりません。アジア地域では中東からインドにかけてはある程度の死亡数が挙がっていますが、東南アジアから東アジアはかなり少なくなっています。統計があまり信用できない国も一部あると思いますが、欧米(南米を含む)とアジアの死亡率には明らかな差があります。以前BCG接種との関連が言われていましたが、スペイン(定期BCGなし)とポルトガル(定期BCGあり)の差が全くないことからはBCG説は支持しにくくなりました。

 日本は人口10万人当たり7.94です。イギリス、アメリカ、ドイツの死亡率は日本の各々24倍、22倍、12.5倍となっており、先進国の中ではかなり低い死亡率と言えます。一方で、近隣のアジア諸国と比べると、韓国の2.3倍、中国の22倍、ベトナムの199倍と明らかに高い死亡率です。中国やベトナムのような共産党一党支配の国は、自由の侵害に敏感な日本と比較して感染対策という点だけでは明らかに勝っているようです。

 二つ目の資料は2019年と比較しての2020年の死亡数です。日本は138万4544人と前年より9373人の減少でした。死亡数は毎年1万8000人前後増加ペースだったことを考え合わせると3万人弱の減少といえます。フランスは5万3900人増加(約9%)、イギリスは年間予測を8万5000人上回る増加(約14%)、アメリカは40万人増加でした。また、日本より新型コロナによる死亡率が少ない韓国の年間死亡数も3.10%増加しています。これら諸国と比較すると明らかに新型コロナ対策は現時点では日本は成功しているといえるでしょう。

 三つ目の資料は警視庁Webページの自殺者統計です。自殺者は平成21年から10年連続で減少していましたが、2020年は約4.5%の増加に転じました。2020年も6月までは前年同月と比較して減少傾向でしたが、7月から増加に転じています。2020年7月から2021年3月までを見ると前年同月と比較して約25%増加しています。これをさらに男女別で比較すると男性の6.8%増加に対して、女性は67.7%増加しています。もともと自殺者は男性のほうが多いのですが、コロナ感染による社会状況の変化はより女性の自殺に影響を及ぼしているようです。

 従来型のコロナウイルス感染の時期を第1ステージとすると、日本は第1ステージを比較的うまく乗り切ったといえるのではないでしょうか?しかし、変異ウイルスが主体になった第2ステージの勝負はこれからです。いかにワクチンを速やかに接種するかがポイントになりそうです。日本の底力を見せたいものです。

2021年3月

論語を読む  2021年3月31日

 日本資本主義の父と呼ばれ新1万円札の顔になる渋沢栄一のことが書かれた著書「論語と算盤」が評判です。読んでみたいと思いましたが、その前に「論語」を読んでないことに気付きました。

 「論語」は今から2500年前の古代中国の思想家の孔子とその一門の言行録で、日本でも長く親しまれてきた古典中の古典です。江戸時代の寺子屋のテキストにも必ず使われてきました。「論語」も様々な訳が出ていますが、読みやすい斉藤孝先生の訳とその解説を読みました。

  斎藤先生は気に入った「論語」の言葉をしっかり覚えていつでも使える知識にすることが大事だと言っています。そこで気になる言葉をいくつか挙げてみました。

過てば則ち改むるに憚ること勿れ。

(意味)もし自分に過失があれば、ぐずぐずしないで改めなさい。

 確かに失敗を認めることはなかなかできにくいことですが、間違いだと思ったらなるべく速やかに改めることは本当に大事だと思います。これまでの人生で何度が痛い目にあって痛切に感じています。

 

学んで思わざれば則ちくらし。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。

(意味)外からいくら学んでも自分で考えなければ、物事は本当にはわからない。自分でいくら考えても外から学ばなければ、独断的に誤る危険がある。

 私には前半の「学んで思わざれば則ちくらし」が胸に刺さります。本を読んで読みっぱなしになり、その内容を十分に頭に入れていないためにうまくアウトプットできない傾向があります。読書ノートを作って自分の考えをまとめようと思っています。

 

これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

(意味)学ぶにおいて、知っているというのは好むには及ばない。学問を好む者は、学問を楽しむ者には及ばない。

 この言葉はこれまでの人生で常に頭に置いていました。これからも楽しく勉強していくことをモットーにしていきたいものです。

 

内に省みて疚しからずんば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。

(意味)君子というのは、自分の心を省みて少しもやましいことがないからこそ、何も憂えず、懼れることがないのだ。

 自分の心に少しでもやましいところがあると何か落ち着かない気持ちになります。常に心の中をまっさらにして生活することがとても大事ですね。

 

 こうしてみると、「論語」は人生で大事にしたい箴言で満ち溢れています。何度も読み返して自分の人生の糧にしたいものです。

2021年2月

落語三昧   2021年2月26日

3か月前から朝晩の車の中で落語のCDを聴くようになりました。

きっかけは「教養としての落語」(立川談慶 著 2020年)を読んだことでした。それなりに売れている本だったので買って読んでみると落語の基本的なことが書いてあり、興味が出てきました。落語の定番の「芝政」ぐらい知っていないと社会人としては寂しいですよ、と書かれていたので1回聴いてみようと思いました。

 本の中に落語界のレジェンドが4人紹介されていました。立川談志、柳家小さん、古今亭志ん生と志ん生の次男の古今亭志ん朝です。著者の師匠の立川談志は天才だと評判ですが、テレビで見ていてあまり印象が良くなかったので除外。残り3人の中では、「伝統と現代性を持ち合わせたイケメン落語家」と紹介されている古今亭志ん朝が気になったので早速CDを5枚、全7話を買って聴いてみました。

 聴いてみるととても気持ちのいい語り口で一気にファンになりました。「芝浜」「文七元結」「火焔太鼓」「お見立て」などの噺をそれぞれ3回聴いても飽きません。さらに志ん朝の噺を聴きたいと思っていたところで、落語にくわしい人から「大須演芸場のCD」がいいという情報を得て30枚セット(全59話)を買いました。大須演芸場は20数年前にロック歌舞伎、ロックオペラのお芝居を観に通っていたところなので懐かしい場所です。

 1まわり全部の噺を聴いて現在2まわり目の途中になりましたが、何度聴いても面白い。最初に買ったCDはきれいな録音で噺もすっきりしていますが、大須演芸場版は寄席で聴いているかのような臨場感があります。録音環境は今一つですが、本題の噺に入る前の「枕」から楽しめます。今だったら舌禍事件になって炎上しそうなこともあります。懐かしい林家三平やライバルの立川談志、父の志ん生、長男や奥さんの話もあります。長い「枕」は20分以上で本題の噺より長いこともあります。

 志ん朝師匠は「落語なんだから決して真剣に聴かないように」と何度も注意されますが、絶妙な語り口に引き込まれてしまいます。騙されそうな噺では「やめとけ、やめとけ」と何度も言いたくなり、ハッピーエンドの噺ではうれしくなってきます。

 まだまだ、何度も楽しめそうです。「古今亭志ん朝の落語」が私の趣味の一つになりました。

2021年1月

睡眠こそ最強の解決策である 2021年1月29日

私はこれまでに睡眠に関する本を10数冊読んできましたが、「睡眠こそ最強の解決策である」(マシュー・ウォーカー著 SB Creative 2018)は間違いなく決定版です。

 まず、著者の睡眠にかける情熱がすごい。睡眠は健康にとって一番大切だということを膨大な科学データを駆使して読者を説得してきます。食事よりも運動よりも圧倒的に睡眠、できれば8時間睡眠をとることが重要だと何度も何度も強調しています。

 睡眠は昆虫を含めて動物すべてで見られる現象で、動物にとって本質的に必要なものです。睡眠の役割もかなり詳細がわかってきました。

 記憶には睡眠の役割が非常に大きいことが分かってきています。まず覚醒時に覚えたことは海馬に保存されます。その後ノンレム睡眠でその情報を大脳新皮質に送ります。そして、レム睡眠で大脳新皮質の情報を統合するのです。いったん覚えたつもりでもそのあとで睡眠をとらないと記憶は定着しないのです。

レム睡眠は進化的に新しい睡眠で、他の動物に比較してヒトでは睡眠の中に占めるレム睡眠の比率がとび抜けて高く、ヒトの社会文化の複雑さや認知力の高さとの強い関連が指摘されています。「記憶の衝突から創造性の火花が生まれる」と著者は述べています。また、レム睡眠は心の傷を癒す働きもあります。

いわゆるショートスリーパーは極めてまれで、6時間以下の睡眠で本来のパフォーマンスができる人はゼロに等しいことが分かっています。また、睡眠不足の状態では前頭前皮質が扁桃体を抑制できず、ストレス反応が強くなりイライラして怒りっぽくなります。一瞬だけ集中が途切れるマイクロスリープの状態にも陥りやすく、交通事故の原因にもなります。

 著者で睡眠の敵と特に名指ししているのはカフェイン、アルコールです。カフェインは睡眠圧をもたらすアデノシンを阻害する物質です。たとえば午後730分に夕食後のコーヒーを1杯飲むと午前130分になっても半分のカフェインが体内に残っており睡眠の妨げになっています。アルコール摂取しての睡眠は軽い麻酔をかけられた状態に近く、睡眠を断片的にします。また、強力なレム睡眠抑制因子の一つでもあります。

 年齢による睡眠の変化についても重要なことが分かってきています。思春期には夜型になり、10代の子どもにとって夜の10時に寝るというのは大人にとって夜の7-8時に寝るのと同じで、朝の7時に起きることは大人の4-5次おきに匹敵します。そのため、生物学的には学校の始業時間を遅らせることが有効で、実行した学校では生徒の学習成績が向上したとの報告があります。また、加齢により深いノンレム睡眠に入るために必要な脳の部位が70%も失われ、十分な睡眠がとれなくなります。

 著者の結論は「睡眠こそが万能薬」です。十分な睡眠で、記憶力は向上し、創造性もアップ、肥満・ガン・認知症・心臓発作・脳卒中・糖尿病を予防し、抑うつと不安が軽減し、幸福感を感じることができます。

 著者は「睡眠教の教祖」かと思えるほど、8時間睡眠の大切さを強調しています。しかし、その裏付けとして膨大な数の科学研究論文があります。健康を考えるなら何はともあれ睡眠ということを改めて知らされました。

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