小児科・アレルギー科・小児皮膚科

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院長ブログ 2019

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ホモ・デウス     2019年4月17日

前作「サピエンス全史」で世界に衝撃を与えたハラリ氏の続編で、人類の未来について書いた本です。読んでみると随所に示唆に富む考察がされていて、3回読み直しました。

 ハラリ氏は、現代社会を「人間至上主義」の時代ととらえています。近代以前の人間は、力を放棄するのと引き換えに、宗教などから自分の人生の意味が獲得して生きていました。それに対して、現代の取り決めは「人間は力と引き換えに、意味を放棄することに同意する」ことです。つまり「なぜ生きているか?」という疑問は置いておいて、健康や幸福を求めていくことに価値を置いているのです。人間至上主義の人生における最高の目的は、多種多様な知的経験や情動的経験や身体的経験を通じて知識を目いっぱい深めることです。それを実行するために、科学を利用するのです。生命科学は、感情も知能も生化学的アルゴリズムに過ぎないとして、膨大なデータから個人がどう行動する健康と幸福が得られるかを教えてくれるようになります。

 そして、コンピューターの進歩と生命科学の知見から、人は神に近い存在の「ホモ・デウス」を目指すのです。ホモ・デウスは現在のホモ・サピエンスの進化系です。様々な遺伝子操作などのテクノロジーを利用して、健康で寿命がはるかに長く、より高い知能と優れた身体能力を持っています。ホモ・デウスが出現すると、現在の我々人類は劣等人類として衰退に向かうであろうと推測しています。

 このような動きは、すでに始まっています。グーグルベンチャーズのCEOビル・マリスは「500歳まで生きることは可能」と考え、不死のプロジェクトをスタートしています。また、中国では人の受精卵の遺伝子操作が行われました。

 ハラリ氏は人類の歴史を俯瞰して、「ホモ・デウス」の出現の可能性を示唆しています。一方で、予測を書くことでその予測に対する反応が起こり、予測通りにいかなくなることも多いに起こりうると述べています。

 ハラリ氏は動物(特に家畜)の悲惨な状況を憂い、肉や乳製品を一切食べない厳密な菜食主義者として知られています。そのためか、ホモ・サピエンスをある意味突き放してみることができ、極めて鋭い分析をしているように思います。個人的には現代で最高の知性の持ち主だと思っています。

ジャパンメディカル卓球大会2019年4月8日

 昨日はジャパンメディカル卓球大会という医療関係者が参加する全国大会に参加しました。今回は日本医学会総会が名古屋で開催されることに伴い、愛知県大府市で行われました。予選などはなく、医療関係者が申し込みをすれば参加できる大会です。

 参加人数は約150人で、団体戦(5シングル)と年齢別の個人戦が行われました。

 団体戦の第1試合の相手は、40歳の左利きのペンホルダーのドライブマンでした。年齢ハンディ1点をもらい、お互いに2セットずつを取り合い最終セット。終盤まで競り合いましたが、最後はネットインで決められ9-11で負けてしまいました。

 団体戦の第2試合は裏面に粒高を貼った50歳のカットマンとの対戦でした。複雑な変化をする粒高ラバーを貼っている相手は苦手なのですが、相手のカットに対してカーブドライブが有効で、こちらの思い通りの試合で3-0で完勝しました。

 団体戦3試合目は、昨年個人戦でベスト4に入っている右利きのペンホルダーでした。年齢ハンディ1点をもらって、一進一退の攻防で最終セットに入りました。バックハンドサービスとドライブが有効で、6-3とリードして「これでいける」と思っていたところで団体戦で負けが決定して試合は中止となりました。私の中では「勝ちゲーム」としてカウントすることにしました。

 個人戦の1回戦は、大学の同級生との対決でしたが、彼の練習不足によるイージーミスがみられ3-1で勝ちました。2回戦は日本卓球協会ナショナルチームドクターもされていた70代後半の先生が相手でした。サーブ、ドライブとも好調で3-0で勝ちました。

 準々決勝は、ジャパンメディカル卓球連盟会長で試合運びのうまい60代後半の先生でした。1セット目はサーブ、レシーブで翻弄され、2-11で落としてしまいました。2セット目はサーブ、レシーブを工夫して11-5と取り返しましたが、3セット目は再び5-11で取られました。4セット目になっても相手のうまさにやられて、6-10とマッチポイントを握られました。しかしここから粘りを見せて4本連取して、ジュースに持ち込みましたが、ここで痛恨のサーブミス。そのまま失点し、負けてしまいました。

 もう一つ勝ってベスト4に入れば、賞状がもらえるところだったのでとても残念でした。最後に両足の裏の筋肉がつってしまいましたが、1日に6試合もできて心地よい疲労感もあり、充実した1日を過ごすことができました。

 20代から70代の男女が集まった会場は、真剣ながらも楽しい雰囲気でした。改めて「卓球は生涯スポーツだ」と強く感じました。

イチローの引退   2019年3月24日

イチロー選手が引退しました。イチローには特別の思い入れがあったので感慨がひとしおです。

 オリックス時代に彗星のように現れて、ヒットを量産するイチローはとても魅力的でした。オリックスの試合のテレビ中継は、イチローの打席が回りそうな時にチャンネルを合わせていたものです。

 大リーグに挑戦して1年目の2001年。非力なイチローが首位打者になって、MVPをとって活躍するのはとても痛快でした。翌年に私はサンフランシスコに留学しました。行った理由の何割かは、イチローの活躍を生で見ることでした。

 サンフランシスコの隣町のオークランドや、少し離れたサンディエゴにイチローが出場するマリナーズの試合を7、8試合見に行きました。イチローは期待通り見に行った試合すべてでヒットを打ってくれました。イチローの打席は球場も雰囲気が変わり、アメリカの観衆も息をのんで観戦していることが感じられました。イチローの走塁と守備にもとても躍動感があり、見ているだけでも幸せでした。

 また、求道者のような姿勢とその哲学的な言動も魅力的です。「夢をつかむイチロー262のメッセージ」(ぴあ 2005年)には、味わいのある言葉がいくつもありました。

「現役中に過去のことを懐かしんではいけません」

「準備に集中することができました。それがすべてだと思います。」

 過去を振り返らず前向きに、その日その日の準備をしっかりして目の前のことに全力を尽くすことの大切さを教えてもらっています。私の中では、イチローが現代の日本人の中で最も誇れる人だと思っています。 

 イチロー選手、本当にこれまでお疲れ様でした。

2月のブログ

ファクトフルネス  2019年2月17日

世界的なベストセラーになっている「FACTFULNESS(日経BP 2019)は、スウェーデンの医師でグローバルヘルスの教授であるハンス・ロスリング氏が書いた本です。世界の問題をデータに基づいて正確にわかりやすく伝える本で、私たちの世界の状況に対する認識不足を思い知らせてくれます。

 この本では、最初に経済、健康、人口や教育などに関する世界のデータについて3択の問題が出題されます。

 問 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

A 20%  B 40%  C 60%

 問 世界中の1歳児の中で、何らかの病気に対して予防接種を受けている子どもはどのくらいいるでしょう?

A 20%  B 50%  C 80%

 上記のような13問のうち、私の正解数はわずか3問で、チンパンジー以下という結果になりました(チンパンジーがランダムに選んでも4問は正解します)。

 しかし、世界中の科学者や政治家も私と同じようなレベルで、チンパンジーのレベルを超えている人は稀だと述べられています。

 どうも人間は様々な思い込み(本能)があり、事実を事実として受け止めることができないことを著者は鋭く指摘しています。

 恐怖本能のため、私たちは恐ろしいものに自然と目がいってしまいます。例えば自然災害、飛行機事故、殺人やテロなどは、メディア報道や自身の関心フィルターのせいで、多くの人が過大評価しています。リスクは危険度×頻度で決まることを頭に置いておく必要があります。

 また、私たちの犯人捜し本能のために、うまくいっていないことがあると誰かが見せしめとばかりに責められることが起こります。最近日本で起こった例では、虐待で死亡した女児の問題が頭に浮かびました。このような場合に、特定の人を責めることよりも、その状況を生み出した、絡み合った複数の原因やシステムを理解することに力を注ぐべきだと著者は述べています。また、うまくいっている時にも、個人の功績ではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けるべきとも主張しています。

 著者は自身の失敗談もたくさん交えて、ユーモアたっぷりに世界の実情を伝えています。アフリカなどの現地での医療活動の実績も豊富で、インターネットでも見られるTED(世界的講演会を開催しているNGO)の動画でのウイットに富んだ講演も人気です(銃剣を飲み込むパフォーマンスも有名です)。残念ながら本書の執筆後に亡くなられていますが、飾らない人柄で、国際人(コスモポリタン)としては理想的な人だと感じました。

 著者の足元にも及びませんが、ほんのわずかでも人々の幸福に貢献できたらと思いました。

1月のブログ

マルチバース宇宙論  2019年1月14日

高校生の時に最も苦手だった科目は理科でした。なかでも物理は全く理解できませんでした。文系クラスに所属していたため、物理の先生が「文系で物理を選択して受験する奴はいないだろう。授業ではベトナム戦争の話をする」と言って、ほとんど物理の授業をしなかったのです。

 文学部に入学して、その後医学部を受験することになり、ほんの少しだけ物理を勉強して医学部に入学。教養部(大学12年生)では、もちろん物理の授業はチンプンカンプンでした。テストの回答用紙を見た物理の先生が、「これまで教師をやっていて、お前ほど物理がわかっていない生徒は初めてだ」と言われました。幸い、お情けで物理の単位をくださったやさしい先生がいたおかげで、何とか留年せずに教養部を終え、専門課程に進むことができたものでした。

 物理の理解度は平均的な理系高校生に及ばない私ですが、物理関係の本を読むことは大好きです。

 特に大好きなのは宇宙論。「宇宙がいつごろどのようにできて、どこまで広がっているのか?宇宙には、どのくらいの数の星があるのか?」などの疑問を次々に解明していく物理学者を深く尊敬しています。物理学は「科学の王様」と言われていると聞いたことがありますが、すべての科学の基礎になる学問であることは間違いありません。

 その中でも、宇宙が無数にあるという「マルチバース」の話は、読んでいてもワクワクします。インフレーション理論でノーベル賞候補ともいわれる東大名誉教授の佐藤勝彦氏の「宇宙は無数にあるのか」(集英社新書 2013)と、新進気鋭の野村泰紀氏(カリフォルニア大学バークレー校教授)の「マルチバース宇宙論」(星海社新書 2017)は、いずれもマルチバース理論を解説する本です。

 両教授とも「なぜ宇宙は無数にあると考えられるのか?」について、説明をされています。ダークマター、反物質、素粒子の構造、真空のエネルギー、宇宙の加速度的膨張、超弦理論、量子重力や余剰次元について、噛んで含めるように解説されていますが、さっぱりわかりません。ただ、「すごいことがわかっているんだな」と感心するばかりです。

 物理学者の間では、宇宙があまりにも人間に都合よくデザインされていることが大きな課題になっていました。この問題を現時点で最もうまく説明するのが、「マルチバース」という仮説のようです。マルチバースでは、異なる性質をもった宇宙が無数に(10500乗以上:1の後に0500以上続く数)あるので、その中のいくつかは高等生命体を生じる条件が満たされます。このように考えれば、神様を持ち出さなくても私たちのいる宇宙の物理的条件の説明がつきます。

 人類はまだ太陽系内の惑星のことも観測は不十分で、まだまだわかっていないことが多い状況です。一方で、数兆個以上の星があるこの宇宙が、さらに無数にあるということを証明しようとしている物理学者は、人類の知能を代表する素晴らしい存在です。宇宙の謎を解明して、なるべくわかりやすく説明してほしいと願っています。

子どもの脳を傷つける親たち  2019年1月6日

 「子どもの脳を傷つける親たち」は、昨年11月の「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演された、福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授の著書です(NHK出版新書 2017)。

 友田教授は私も直接お話したことがありますが、とても気さくで分かりやすいお話をされる先生です。

 この本では、子どもへの「マルトリートメント」が子どもの脳を傷つけることを、脳の画像研究の成果から示しています。

 マルトリートメント(malは「悪い」、treatmentは「扱い」の意味)とは「強者である大人から、弱者である子どもへの不適切なかかわり方」を示す言葉です。虐待という言葉は偏ったイメージが先行して、多くの人が「自分とは関係ない」と考えてしまうためマルトリートメントという言葉が推奨されています。

 画像研究からは以下のことがわかってきました。

叩かれるなどの体罰を受け続けた子どもは、脳の前頭前野が委縮します。前頭前野がダメージを受けると、危険や恐怖を常に感じやすくなります。性的マルトリートメントを受け続けた子どもは、一次視覚野が委縮し、ワーキングメモリが低下します。暴言を浴び続けた子どもは、側頭葉の聴覚野が肥大する変化が見られます。この変化は脳の発達期に正常な神経の刈り取りが上手くいかないために、人の話を聞き取るのに負荷がかかり、人との関わりに障害をきたすと推測されています。

 両親間のDVを目撃することも、とても大きいトラウマになります。驚くことに身体的な暴力よりも言葉の暴力に接した方が、脳へのダメージが大きいことがわかっています。子どもの前での夫婦喧嘩は、かなり子どもの脳に大きい傷を負わせるので注意が必要です。

マルトリートメントに陥らないようにするために、子どもとの関係を改善する心理教育的介入プログラムにCARE(Child-Adult Relationship Enhancement) があります。

この中で、親や身近な大人が子どもに対して「積極的に使いたい三つのコミュニケーション」として、①子どもが言った言葉を繰り返す②子どもがやっている適切な行動を言葉にする③具体的に好ましい行為や姿をほめる、が挙げられています。

一方で「避けたい三つのコミュニケーション」としては、以下のものが挙げられています。①子どもに命令や指示をすること②考えごとをしている子どもに「何について考えているの?」といった不必要な質問をすること③禁止や否定的な表現。

現在日本では、児童虐待相談対応件数は毎年増加し、13万件を超えています。特に自閉症スペクトラムやADHDの子どもたちは、その特性から親を含めた大人たちからマルトリートメントを受けやすい傾向があります。いい親子関係を築くことがとても重要な課題だと感じています。

ボケとツッコミ  2019年1月1日

以前から漫才が大好きで「ボケとツッコミ」の巧みさに魅了され、その秘密を知りたいと思っていました。また、毎週「アメトーク」と「ホンマでっか!?TV」を見て、さんまさんをはじめとする芸人の人たちの話術に惚れ惚れとしていました。

AMAZONで、「ボケとツッコミ」で検索してヒットした放送作家・漫才作家の村瀬健氏の「最強のコミュニケーション ツッコミ術」(祥伝社新書 2015)を読み、ツッコミのイメージが少しつかめた気がしました。

 現代のツッコミは次の10種類に分けられます。①指摘ツッコミ、②疑問ツッコミ、③擬音ツッコミ、④ノリツッコミ、⑤リアクションツッコミ、⑥すかしツッコミ、⑦セルフツッコミ、⑧倒置ツッコミ、⑨広げるツッコミ、⑩たとえツッコミ。

 いずれのツッコミも、私にはとてもハードルが高いものですが、④ノリツッコミと⑩たとえツッコミに憧れます。

 ノリツッコミの例で挙げられていたのは、「さんまのまんま」で女優さんとさんまさんの会話。

ゲスト「まぁ、でも、さんまさんはこの先、ずっと独身でしょうからね」

さんま「そうやねん、結婚はこりごりやし、このままいって最後は孤独死ってコラ!」

 さんまさんの話術は素晴らしく、本人は嫌がるでしょうが、個人的には人間国宝に指定するべきだと思っています。

 たとえツッコミでは、フットボールアワーの後藤さんの例が紹介されています。

一発ギャグがスベった芸人に→「お前、ようそんなギャグだせたな!陶芸家なら割ってるヤツやで!」

 とてもキレのあるツッコミで、フットボールアワーの後藤さんならではの神業です。

 関西人の妻に聞くと、まず⑤リアクションツッコミを練習するようにと言われました。吉本新喜劇で、誰かがギャグをするとずっこけるあれです。トライしてみましたが「タイミングが遅い」「アクションが小さすぎる」と丁寧な指導を受けていますΣ( ̄□ ̄|||) 関西人には簡単にできることが、山口県出身の私には難しいようです。  

 村瀬氏によると、「ボケは才能に左右されるが、ツッコミは才能ではなく、努力と経験で上達できる」とのこと。しっかり練習して、小さいボケも拾える、いいツッコミができる人間になりたいです♡

 今年は、おせち料理講座で作ったおせちです。